2014年03月11日
記憶。
夕飯後に、業者さんに取りにいくものがあって
「ちょっと行ってくるね。」と言うと
「私も行く。」と娘が言う。
なんてことはない、車で3分ほどで着いちゃう場所だ。
道中、娘が言う。
「小さい頃、車によく隠れてたよね。」
車に隠れてた…？
そうだ。
……
娘がまだ保育園に通っているとき
わたしは、休日や保育園にお迎えにいった後に
娘を乗せて仕事先に行っていた。
納品だったり、引き取りだったり。
子どもをお客さんの前には連れて行きたくなかったので
ほんの数分だけど、幼い娘を車にひとりっきりで待たせていた。
その時に、わたしは 外から娘が見えたら
連れてかれちゃうんじゃないかと心配で
いつも「外から見えないように隠れていなよ。」と言ってカギをかけた。
娘はたいてい、後部座席に隠れていた。
……
娘は言う。
「外から見えないように隠れると、自分も外が見えないから怖いんだよね。」
娘は続けて言う。
「一回、わたしが助手席の足下に隠れてたら、ママ わたしがいないと思ったらしく
急にあわててわたしの名前を叫んでパニクってたよね（笑）」と。
そうだ。そんなこともあった。
……
あの時は、本当にびっくりした。
用事を済ませて車に戻って、外から車内を覗くと
娘の姿がない。
「いない！」とっさに わたしは 娘の名前を呼びながら
後部座席を開けた。いない。
まわりを見渡して、名前を呼んだ。
そしたら、助手席からヒョコっと はにかんだ娘が顔を出した。
あの時は、ホッとしたのと脱力で なんともいえない恐怖だった。
大人にとってみれば、ちょっと車で待たせるだけだから…
と思っているけど、幼い娘にとっては、心細くて 寂しくて
とても とても 怖かったんじゃないだろうか。
そんなことを思ったら、とても 申し訳ないことをしていたなと
悲しくなり、もっと娘の気持ちを汲んであげていれば良かったと後悔した。
その気持ちを娘に伝えたら、
「怖かったかどうかは覚えてないー。そんなこと今更言われてもねー」だって。
同じ出来事でも、娘の記憶に残っていることと
わたしの記憶に残っていることは違うんだとしみじみ実感した日。
